樹木医ブログ
クスベニヒラタカスミカメの成虫を発見!
5月19日に熊本市中央区大江の白川左岸で低木クスノキから確認し、2匹採集しました。5月連休時までは、高木のクスノキ新葉には加害痕跡は発見できませんでしたが・・・。今年の初見です。
新葉の吸汁痕に炭疸菌(コロニー様態)が発生して黒斑(写真-2)が出ています。採集したカメムシはビニール袋に入れて観察しています。新葉はデリケ-トで、吸汁痕に発生した炭疽病の影響でストレスを感じて落葉(7月頃に)することになります。クスクダアザミウマ(6月)・クスオオアブラムシ(新芽青軸)より早く発生して加害していますので、従来の病害虫の発生パタ-ンとは異なります。クスノキ街路樹が害路樹と呼ばれる前に対策を考えましょう。
臥龍梅の樹勢回復(新葉の管理)について
池尻の唐笠松 (熊本県指定天然記念物・山都町)
4月22日(晴れで強風)
アカマツの巨樹で、推定樹齢300年以上・樹高13m、幹周3.5mで枝幅が30mの樹形できれいな編み笠状態の一本松です。普通のアカマツは樹高が枝幅より大きいのですが、本種は樹高より枝幅の方が大きいのが特徴です。町の依頼で2010年頃から養生管理の指導をさせてもらっていますが、地元の協力・理解を得てマツノマダラカミキリに被害を受けないように必死に維持管理しています。唐笠松の生育場所が良くなく、頂部では植栽基盤が薄く(30㎝前後)、支持根が横に張り出る状態なので強い風向きによっては倒木の恐れもありますので、今回は根力の強化を目指すためにエアースコップによる土壌改良を実施しました。マツノザイセンチュウ病についてはネマバスタ-潅水で対応しています。アブラムシなどの吸汁性昆虫にはアドマイヤ-を散粒し、すす病などの2次感染を防ぎます。地元(上川井野区)からは毎回多数の人々が集合していただき感謝しています。
5月にマツノマダラカミキリの予防として、殺虫剤(エコワン3フロアブル)・植物活力剤・調整剤などを散布計画しています。シロアリ蟻道も確認しましたので駆除も予定しています。根系バランスが不均衡なので経過観察は継続し、常に根力の強化を目指します。
一心行の大桜」休園中の治療について
新型コロナウイルスの感染防止の一環で公園は閉鎖中ですが、所有者の依頼により南阿蘇村役場から特別な許可をいただき入園しました。桜類は開花前後に治療の適期があります。観光客が居ないので、エアースコップで土壌改良・診断を行いたかったのですが雨天で中止しました。コフキタケ等の腐朽菌処理は国天然記念物「麻生原のキンモクセイ」で駆除した実績があります。気温13℃から18℃になればダニ・アブラムシが動き回るので殺虫剤を散粒し、地温14℃になれば、根系が発育しますので油粕を施肥するなどタイムリーな作業があります。枯れ枝も昨年より多くなり樹勢の衰退が止まりません。
この衰退の原因の一つに、根元南側の段差を無くすために盛り土した結果が現在の衰弱を招いたのではないかと考えています。経過観察が必要ですが、花香が漂いはじめていたのが唯一の癒しでした。
幼果菌核病については、南阿蘇地域の全域に発生していますので役場の担当者に病名・薬剤名と散布回数などの報告はしましたが、完治が困難な病気の一つです。
熊本県指定天然記念物「将軍木」
兜梅の再生剪定
3月3日(開花後)に能子樹木医と一緒に、剪定などの樹勢回復作業に延慶寺さんに出張しました。考えていたよりも兜梅は枯れ枝が多く発生しており、それだけ根腐れ(後遺症)が深刻だったことが判りました。そこには天草地方の植栽基盤を改良する困難さがあります。さらに環境悪化による新梢の生育に異常があり天狗巣病(?)みたいな捻じれ枝が多数発生しており、診断以上に衰弱していることに気づかされました。雨水排水は良好で安心しましたが、停滞水が発生しないように再度のエア-スコップ作業です。
今の兜梅は根力が弱く細根量が少ないので強剪定・切詰め剪定は控え、青軸芽を少し残して根量を増やすことを優先です。新芽が元気に伸びて葉量を確保して樹勢回復へと繋がるように細心の観察をします。剪定後は切り口に殺菌剤塗布、全体にベンレ-ト水和剤・コ-テイング剤を散布して今日は終了です。
緑育してます!
1月14日は、熊本市教育委員会による学校緑化コンク-ルの相談員として助言をしました。桜木中学・健軍小学校などの5校を巡り樹木診断をしましたが、担当先生の熱意は高く楽しい一日でした。
2月12日は、午前は芳野小学校、午後は北部中学校で授業しました。
熊本市立芳野小学校での桜の授業風景です(写真-1)。「学び舎の桜を救おう」というプロゼクトが今年で9年目になります。1922年にソメイヨシノが移植されています(熊本県内では最古)が、子供たちによるクイズで盛り上がりました(写真-2)。
熊本市立北部中学校での緑の授業風景で、緑化委員会での活動状況です。「寂心さんの樟」苗を移植したものが大きく成長しました(写真-4)が温暖化対策の一つであることを共有しました。さらに命を繋ぐ行動にも教え甲斐があります。日本一美しいクスノキ「寂心さんの樟」のように育ってもらいたい。
グランドに河津桜が咲き誇りメジロが蜜を吸いに来ていました。もう春ですね。
記念樹のヒマラヤ桜を救おう!
「国際環境都市会議くまもと2002年」を記念して、高円宮殿下・妃殿下がお手植えされた熊本市民会館前のヒマラヤ桜がピンチです。数年前から樹勢が衰退し、枝枯れが目立ちます(写真-1・2)。ヒマラヤ桜は常緑(写真-3)で日本の桜(落葉)の先祖とも云われており、大気浄化の機能が高く街路樹としても活用されています。開花時期は12月初に薄紅~白一重の可愛い花(写真-4)で、熊本では葉を出しながら咲き始めます。「サクラマチくまもと」を支える常緑桜の1本です。迷惑な『害路樹』にならないためにも!