「寂心さんの樟」後継樹を育てる! 熊本市立北部中学校

樹木医 今村能子

経過
 2019年1月に生徒6人で「寂心さんの樟」の実生苗を採集して北部中学の校庭に移植しました。これは文部科学省の教育プログラムの一環で、地元の有名な楠を保存し後継樹として育成する計画です。地域の宝を北部中学のシンボルツリーにしようとする緑化運動です。あれから3年、高さ1.5m~3.0mに成長した楠苗が3本残っています。この子達(苗)をいつごろ、何本、移植方法、移植場所についての検討が必要です。2022年6月20日に水田校長から相談を受けて、社長(能子)と2人で学校に行き、これからの作業工程について話し合いとアドバイスをさせてもらいました。

移植後3年

移植後3年

移植準備のために枝葉の切り詰め剪定後

移植準備のために枝葉の切り詰め剪定後

計画案は下記の通りです。

① 移植場所は東側運動場のくぼ地あたりで、多くの生徒で見守りながら植えこむ。
② 移植時期は来年の2月・3月で、6月までに根切り作業を終わらせて細根を出させる。根切りは樹木医が行い管理指導をする。蒸散抑制剤・発根促成剤散布します。
③ 移植本数は生育良好な1本を予定し、夏場には生徒による葉水・潅水を行う。

 楠の苗は、直根で細根が少ないので移植は難しい年齢でもあります。そのために根切りをして細根を増加させる必要があります。6月に根切りをすれば、翌年2,3月には新根が発生して移植しても枯れることは少ないと思われます。剪定・根切り・蒸散抑制剤散布・活力剤・発根促進剤・養生管理へと続きますが、夏場の気温・乾燥・強光には特に注意を払い新芽の状態を観察しながら管理します。熊本地方6月28日に梅雨明けしましたので、夏場の高温・強光・乾燥の障害が心配ですから、根切りは9月中~10月初に変更です。夏日は潅水をたっぷりおねがいしています。