国指定天念記念物「川棚の大楠」は、なぜ治療できない?

平成30年5月5日に、再度「川棚の大楠」を訪れましたが、残念ながら樹勢はさらに衰弱しており、レイチェル・カーソン氏の“沈黙の春”みたいな雰囲気があり鳥肌が立つのを感じました。なぜ治療しないのか? できないのか?

大楠が枯死状態でも、国(文化庁)から治療の許可が下りず樹勢回復工事ができないと地元から聞いています。生きている時間がないのです、誰か許可できる方法を教えて下さい! 090-3736-0101

ここにも国指定という岩盤規制があり治療できないのは残念です(熊本にも同様の例がありますが・・・)。自分の責任につながるようなことは先延ばしにする、前例がないことはしない、他人の責任に転化しようとする、組織や立場として動き、見て見ぬふりをする、これらも人災の一例ではないでしょうか?

種田山頭火が「大楠の 枝から枝へ 青あらし」と詠みましたが、その面影はありません。山頭火が今の状態を見たら何と詠むのでしょうか?!

平成30年5月5日の状態

平成30年5月5日の状態

日本花の会「桜シンポジウムin上越」に参加しました

赤矢印は今村能子です。  平成30年4月13日 新潟県上越市

高田公園(上越市) 1-B班

高田公園(上越市) 1-B班

ソメイヨシノ 樹齢110年 高田公園

ソメイヨシノ 樹齢110年 高田公園

シダレ桜 樹齢200年 高田町

シダレ桜 樹齢200年 高田町

ソメイヨシノ 樹齢100年以上 高田公園

ソメイヨシノ 樹齢100年以上 高田公園

小石川植物園にて花は散ったけど。

ソメイヨシノは長寿です!!

ソメイヨシノ 樹齢150年~200年?

ソメイヨシノ 樹齢150年~200年?

ソメイヨシノ 樹齢130年以上

ソメイヨシノ 樹齢130年以上

県天「寂心さんの樟」が総合評価で巨木NO.1に!!

2018年4月15日(日)朝7時から放送された日テレ「所さんの目がテン」の番組内で日本の巨木NO.1に選ばれました!!

高橋弘氏(東京巨樹・巨林の会主宰)が、全国の巨木3400本以上の中から、樹形・樹勢・樹齢・大きさ・由来・地元の管理状況などを総合的に判定して「寂心さんの樟」が堂々のNO.1でした。
樹高29m・幹周17m・枝張50m~55m。樹齢800年ですが、地元では守り神として崇拝されています。
参考にNO.2は、北金ヶ沢のイチョウ(青森県)で、NO.3は三春の滝桜(福島県)で国指定天然記念物でした。

 

南側から

南側から

北側から

北側から

「一心行の大桜」開花しましたが・・・ピンチです!!

2018年4月2日にRKKテレビの取材で会いに行きました。10年前と比較して、幹肌は洗浄されて明るくなっていますが、花数が少なく(青空が見える)、枯れ枝の切断痕も多くあるなど勢いが足りません。これからは土壌改良や腐朽部処理を行い、樹勢の回復に努められるように提案したいと考えています。さらに回廊の周囲には大桜の香りが漂いはじめており時代を超えた芳しい香りです。この花と香りがまだまだ続くように、願っています!!

南側から撮影

南側から撮影

散る間際の様子

散る間際の様子

「寂心さんの樟」新しくなりました!!

杉支柱・ロープの外柵(2018年1月)

杉支柱・ロープの外柵(2018年1月)

擬木支柱と鉄骨支柱の完成(3月30日)

擬木支柱と鉄骨支柱の完成(3月30日)

2017年12月から着工した寂心緑地支柱設置その他工事(その2)が完了しました。鉄骨支柱3組、擬木外柵108mを新設し、さらに暗渠排水工などを施工しました。今までより安心して見学できます。元気な新梢が伸び始めおり快復が期待されていますので、多くの方に来て頂ければ幸いです。

「一心行の大桜」花はどこから?

 「一心行の大桜」はどこから南阿蘇に来たのか? 葉より先に花が出て咲きますので、分類学的にヤマザクラ(写真-1)ではありません。しかし花や葉の形はエドヒガンでもありません。オオシマザクラ(写真-2)とヤマザクラ・エドヒガン等の種間交雑した品種ではないかと考えています。DNA鑑定(RAPD分析)でヤマザクラとした樹種同定(2003年)には無理があります。それは試料として使われたヤマザクラが関東産でオオシマザクラと交雑している可能性があるからです。またツクシヤマザクラとの説もありますが、戦死した矢崎城付近には自生していません。

 では大桜さんは、どこから来たのか? 歴史を遡れば、峯伯耆守惟冬の長男(惟尚)が出家して「了順和尚」として京都へ修行に行き、その帰路に吉野山で桜苗(実生)を購入して持ち帰り菩提樹として植えたと私は考えています。1635年に「了順和尚」が徳正寺を開き、その後に大桜を拝んで一心に行を重ねた事が名前の由来と考えられます。

ヤマザクラ(写真-1)葉裏が白

ヤマザクラ(写真-1)葉裏が白

オオシマザクラ(写真-2)葉裏が緑

オオシマザクラ(写真-2)葉裏が緑

一心行の大桜(2008年)写真-3

一心行の大桜(2008年)写真-3

花の形状(純白で無毛・中輪)

花の形状(純白で無毛・中輪)

 写真-3の左側に立つと、大桜の爽やかな甘い香りが漂います。これはオオシマザクラ特有のクマリンの香りで、桜餅の葉の匂いと同じで、ヤマザクラなどにはありません。
 さらに平成16年8月の台風で倒木した枝を染料として草木染にしました。白い布が鮮やかなピンク色に染まり、感動的な美しさでした!!

「一心行の大桜」が歩いた!

 倒木更新で叢生(株立ち)して根元から離れていく様子を歩くと表現しています。90年前は、1本立ちだった(写真-4)のが倒木更新して今は6本立ちになり、根株は1m~2mほどの隙間(写真-5)ができていますので、少し歩いたなと思います。

1929年(昭和4年)上妻博之氏撮影・熊日新聞(写真-4) 1本桜

1929年(昭和4年)上妻博之氏撮影・熊日新聞(写真-4) 1本桜

現在の根元状況(6本立ち)(写真-5)

現在の根元状況(6本立ち)(写真-5)


 幹周が7.35mと紹介されていますが、これは株立ち本数の幹周合計です。単木最大の幹周は3.5mですから、誤解のないように。
桜類や梅類(臥竜梅)は倒木しても再生(更新)しやすい樹種でもあります。熊本地震の影響で倒木しそうな幹もありますが、樹形は年代により多少は変化しますので気長に待ちましょうか。

熊本県指定天然記念物「兜梅」に会いに行きました!

平成30年3月2日

1589年11月に、木山弾正の奥方・京子の方が敵陣(加藤清正)へ騎馬武者として切り込みましたが、この梅の枝に兜をからませて身動きができず討ち死にしました。辞世の句として、「花は咲けども実は成らさず」という伝説があり、今も実は成りません。樹齢は500年と推測され、高さ3.0m、幅5.0m、長さ13.0mで臥竜梅とも呼ばれています。天草の歴史の生き証人でもあります。

RKKラジオの岡村さんの取材に、熱心に説明されている永田住職(浄土真宗東本願寺派 延慶寺)さん。今日は満開で、多くの観梅客が来場されていました。

兜梅は私が駆け出しの樹木医のころ、2000年~2002年に治療・回復した思い出の樹木の1本です。樹木医としての大切な師匠です。

学び舎の桜を救おう!! 芳野小学校の桜授業

2月14日(バレンタインデー) RKKラジオの取材です。
教室での座学も熱心です。百年桜の維持管理について・今村能子樹木医
全校生徒は56人です。

綺麗な花を咲かせる寒肥を置きます。    百年桜の2本

このソメイヨシノは1921年に東門寺小学校から、父兄が担いで移植したと伝えられています。今までに火事や障害などにも耐えて生き延びており、その強い運勢をシンボルツリーとして保存し、接木による増殖で百年桜としてのDNAをつないでいます。

嵐を呼ぶ男が来熊です!! 日本花の会 主幹 和田博幸氏

2月11日 雪の寂心さん

2月12日 100年後を見据えた桜の名所づくり講演会
菊池市七城公民館・市長・観光協会長・和田氏との記念写真


2月21日 大江小学校(小学5年)でエノキの授業・・今村能子樹木医
倒木した大エノキの命を繋ぐための勉強会です。

国指定天然記念物「川棚の大楠」が大ピンチ !

枯死寸前の「川棚の大楠」の枯れ始めた原因が不明なので、同期の森和義さんの要請で集合しました。樹木医研修の5期生で、 国忠(岡山県)・溝口(広島県)・柳井(島根県)・今村(熊本県)・森(山口県)と羽嶋(8期)・戸坂(6期)支部長も参加してセカンドオピニオンを開始しました。枯たり衰弱するには必ず原因があり、それを探して治療するのが我々の使命(ボランテイア)です。

枯れている症状から樹勢衰退の主な原因は盛り土(覆土)による根系障害から発生した可能性が高い。根腐れは停滞水や過湿ではなく、土壌酸欠や近年の高温・強光・乾燥などの負の連鎖によるもので20年以前から徐々に悪影響が地面下で起きていたと推察されます。根元周辺の土壌分析や土壌構造(固結層)の調査もされていません。さらに赤ちゃん新芽の保護養生などの対策、夏場の養生管理、土壌改良(ツワブキ移植も含む)などの具体的な処方箋も提案しました。それらの決定権は、国・県・市・地元・樹木医にあり、そのチームワーク(良好な関係)が大楠の生命線です。

「寂心さんの樟」の治療実績を例にしてUSB持参で説明しました。樹勢が早く回復することを祈っています。

頑張れ~森和義樹木医!!!