樹木医ブログ
御神木(ムクノキ巨樹)の移植タイミング
樹種 ムクノキ Aphananthe aspera ニレ科 ムクノキ属
形態 高さ15m 幹周4.5m 枝張り30m 主幹が下流側に傾いています。
場所 熊本県菊池市片角 菊池川中州
樹齢 300年以上 1740年代の大洪水で主幹が斜めになり、くの字形になった。
樹勢 樹勢は不良(衰弱化)で根元に開口部があり根系が露出し、直根がなく浅根性に変態化しており、台風で倒木や洪水で流失の恐れがあります。
説明会 令和2年12月23日に菊池市片角区の片角公民館で説明会を開催。片角区長・氏子さんら約20名が参加された。このムクノキは「鵜の木八幡宮」の御神木で、毎年8月にお祀りされています。工期は令和3年1月20日~2月10日で、右岸の河川敷に移設予定です。御神木の総重量は推定60tですが、今のままでは樹体や根系への負担が大きく安全に吊り上げ移動することはできません。そのために御神木が再生できる極限の状態(軽量化)に修正して、樹体を傷めずに移植する方法等の説明をしました。65tクレーンで吊り上げる巨樹(幹周4.5m)は県内最大級の大きさで、加えて主幹が傾き大きな腐朽部もあるなど難度が極めて高い移植工事です。移植後の見守り(養生)で、ご神木の生死が決定しますので3年間は経過観察を続ける予定です。
菊池川で大洪水が発生すれば、御神木は流される可能性があります。樹勢は衰退化しており枝枯れ下りが診られるなど植栽基盤の改良が必要で、移植するタイミングとしては良い判断時期です。工事安全祈願は来年1月中ごろに行い、後継樹も育成する計画です。
ムクノキ巨樹でドラゴンボール発見!!
熊本県菊池市片角の菊池川中州に自生していたムクノキ巨樹(幹周4.5m・樹齢300年)を御神木として移植したいと県からの要望があり9月に調査診断しました。その時にムクノキ巨樹の根元には空洞がありその中に「丸い石」がありました。直径15㎝くらいの玉石ですが、周囲の川原石とはまったく異なり、角がなく丸くなっていて、ドラゴンボールみたいになっています。根元の空洞部に包まれており、水流により磨かれたようにも考えられます。菊池には龍の伝説が古くからあり、上流には龍門があり玉石と何かの縁(関係)があるかもしれませんね? 不思議なパワーを感じます!
緑育しています! 未来の樹木医君へ
熊本県指定天然記念物「寂心さんの樟」が美しい巨樹の理由
1990頃年に公園整備・道路改良工事により根元に盛り土されて樹勢が衰退していましたが、2015年に盛り土撤去などの樹勢回復工事を行い順調に経過しております。これは地元住民(北迫)による月2回の積極的な清掃活動や見守りによる支えではないかと思います。国指定のクスノキが24本ありますが、地元の熱意と行動はトップクラスで、これが日本で最も美しいクスノキと云われている由縁ではないかと考えています。地元からこれだけ多くの人に愛されて感謝されているクスノキ巨樹は珍しいのではないでしょうか?
阿蘇北側復旧ルートの車帰水源「水神木」移植その後
阿蘇北側復旧ルートの二重峠トンネル阿蘇口に車帰水源があり、そこに樹齢約300年のヤマモミジ(幹周2.8mの巨樹)が水神さんの木として祀られていました。その大切な水神木が北側復旧ルートの支障木になりましたので離れた場所に移植を依頼され、2017年に移植(総重量18t)が完了し、さらに3年間の養生管理も継続できることになり現在は樹勢も回復しています。阿蘇北側復旧ルートは令和2年10月4日から一般開通し、阿蘇観光の大きな起爆剤として期待されています。移植された水神木(写真-1)は二重峠トンネルの車帰出口の北側で見守っており、阿蘇北側復旧ルートの開通はコロナ禍での最も嬉しいニュースの一つになりました。水神木さんが引っ越ししていただいたお蔭です。車帰水源も無事でおいしい水が流れています、無事に竣工でき感謝ですね! まもなく霜が降りれば紅葉が美しく車帰水源池に映えて、歓迎されるでしょう。
赤斑葉枯病の治療例(その2)
立田山ヤエクチナシで白川左岸(緑の区間)を癒しの場に!
立田山ヤエクチナシを浅井東一先生が発見されて100年目を記念しての植栽で、国交省熊本河川国道事務所(白川出張所)の全面的な協力で完成しました。自生地での立田山ヤエクチナシは日照不足等で消滅した可能性があります。挿し木繁殖した苗(DNA保存木)で緑地帯を造り、絶滅しかかった立田山ヤエクチナシが国指定天然記念物であることを考え、「熊本ふるさとの樹木」として貴重な樹種であることを共に学んでほしい場所にしたい。
明午橋の橋詰に立田山ヤエクチナシ(泰勝寺系)だけで合計400本余りを群植しており、自生していた立田山(国指定天然記念物)を背景にして、熊本大学理学部も眺められる場所に植えさせていただきました。今年の開花時期には間に合いませんでしたが、しっかりと養生管理して来年は立派な純白の花が咲くように心がけしています。さらに芳香も白川の流れに沿って漂うと思えば心が癒されます。熊本市民の憩いの場としての「緑の区間」が立田山ヤエクチナシの植栽で楽しみが又一つ増えたと考えています。「緑の区間」を指導していただいた熊本大学の星野先生・増山先生には感謝しています。
白川小学校の大エノキは生き残れるか!
今村樹木医の挑戦
熊本市立白川小学校のシンボルツリ-の大エノキが伐採の危機に瀕しています。樹高20m・幹周4.0m・枝幅15mの巨樹で、樹齢は約150年と云われています。主幹には開口部が複数あり、大きな空洞部では筒抜けになっている場所もあり腐朽率は60%以上と推定されます。現状のままでは強風で倒木の可能性が高いと診断される危険木です。さらに石のサークルで根元を囲い、盛り土状態で支持根が発達していないのも気がかりです。シンボルツリ-でなければ、伐採は当然かもしれません。1945年7月の熊本大空襲で焼け残ったエノキの貴重な1本でもあり、歴史の生き証人をどうしても助けたいのです!!
地上部の台風・倒木対策として、切り詰め剪定・ワイヤ-ロ-プ巻・幹巻・蒸散抑制剤散布などの作業をしました。
落葉後に土壌改良、養生管理を実施しながら支持根の強化を図り、自分の力で倒木しないような強い根系を目指します。児童会も水かけ、声掛けで応援してもらいたい。
令和2年8月24日~25日
「一心行の大桜」つながるプロゼクト
令和2年8月21日 中松小 6年生
阿蘇郡南阿蘇村立中松小学校は今年度で廃校になります。地域にある「一心行の大桜」を接ぎ木(芽接ぎ)して6年生(13名)がそれを管理して移転先の新白水小学校へ持っていく計画です。さらに宮城県東松島市立鳴瀬桜華小学校(新設)からの要望もあり接ぎ木苗(写真-7)を寄贈することになりました。 中松小学校は熊本地震、鳴瀬桜華小学校は東日本大震災という大きな災害を両校は経験しましたが、助け合いながら交流を深めて復興を目指してきました。来春に中松小の6年生が鳴瀬桜華小へ「一心行の大桜」苗を贈り、復興のシンボルツリ-として応援の絆を強くします。桜つながるプロゼクトの第2弾です。
このプロゼクトは所有者のご協力で実施されています。感謝です!