徳富記念園のアメリカキササゲ(ノウゼンカズラ科)の花が例年より少し遅く
咲き始めました。大型の花弁が波を打つような花形で豪華さを感じさせ芳香も漂うなど清楚で癒し系のシンボルツリーです。
このカタルパは、北アメリカ原産で明治13年11月27日に新島譲から徳富蘇峰に贈られた種子を育成したものです。日本最古のカタルパは新宿御苑(東京)で明治7年に栽培された記録があります(新宿御苑 金井利彦1980年)。
最近になって分った事ですが、津田仙(津田梅子の父)は明治9年から農業雑誌を創刊し、明治25年~26年までカタルパの苗を1本5銭から10銭で通信販売していました。このときの苗が、国内で巨樹・老木に生長している可能性があると思われます。農業雑誌での広告では、オハヨ梓(原名カタルパ)として販売していました。その解説文は、其葉大にして成長迅速で殆ど桐樹と伯仲し庭園に植えて装飾となすべく、又路傍並樹に適す。其花美しく艶やかで何回も見れる。其の材は永く腐朽することがないので鉄道の枕木及び電信柱などに最適である。
オハヨ梓(カタルパ)とはオハイヨ州(アメリカ)で種子を採集した産地名で、梓はトウキササゲという漢名を間違って付けたと思われます。明治13年1月8日付けで新島譲にカタルパ種子を封筒(同士社大学資料室に保存)に入れて贈った実業家のバーニーもオハイヨ州に住んでいました。余談ですが徳富蘇峰は西洋梓として書いています。