カスミザクラの自生南限地は無事でした!

 令和2年7月の人吉球磨地区の豪雨による大災害でカスミザクラの自生地の植生状況を確認するために相良村の許可を受け、産業振興課長さん他3人が同行して調査に行きました。5月1日現在では、村道の一部が崩れて通行止めですから一般の人はまだ通行できませんが、貴重な文化財の状況確認とカスミザクラの自然分布調査が目的です。
 今回の調査は、森林総合研究所 九州支所の勝木俊雄(農学博士)氏のカスミザクラ研究の資料づくりとして現地案内をしました。勝木先生は2年前にクマノザクラという桜の新樹種を紀伊伊半島などで発見された研究者で、この発見は国内で100年ぶりの快挙で全国紙でも紹介されました。勝木先生は桜の研究では日本でも第一人者と言われており、カスミザクラの南限地である相良村も併せて紹介していただき人吉球磨地区の発展に少しでも繋がればと考えています。


 カスミザクラの標本木は樹勢が旺盛で、周囲の斜面は土砂流失がなく葉量も多く、周囲の杉・ヒノキの伐木のお陰で枝幅も伸び元気に成長しています。開花は例年より半月程度早く咲き花数も多かったそうですが、今は葉桜でした。

株立のカスミザクラ

採集状況


 5年前の調査より、株は肥大生長しており自然な生態系で獣害(鹿・猪・兎など)は認められず相応の管理が行われています。ただし、植生のクライマックス(極相林にはまだ時間がかかりそうですが、ツブラシイの大径木が枯死していたなど次回調査の項目の一つになります。桜も含めて樹木の自然分布については、球磨地域は未調査地域と言われています。