ご神木が宙を舞う! 巨樹を活かす命の水掛け!!

 令和3年に「鵜の木八幡宮」のご神木(高さ30m・幹周4.5m)を移植しました。樹齢300年と云われるムクノキが菊池川の中州に植えられていて、洪水で流される恐れがありますので、地元の要望もあり2月中旬に移植しました。


 主幹に大きな腐朽部がありますので、樹体に負荷のかかる普通の移植は危険です。素掘り工法・浅鉢仕様で対応しました。通常であれば総重量が60t~70tですが、移植場所が高台に指定されていますので、ご神木の総重量を20t以下に抑える工夫をして、65tクレーンと70tクレーンの2台で伴吊りしました。


 仮設道路から植穴までの距離が15mあり、高低差が8mありますので大型クレーン2台を駆使して吊り上げて安全管理優先の植付けです。土壌改良材はバーク堆肥・ピート・パーライトなどを現場土と混合して排水の状態を確認しながらの植付け作業になりました。


 植穴に植樹後は4本のワイヤー地下支柱を設置しました。4月初には小枝に新芽が伸び始めており、根系の発根も順調に生育しています。これからは夏の高温・強光・乾燥をいかにして乗り越えるかが大切で、特に5月の連休後、梅雨明け後、9月10月の乾燥時期を注意して水管理することで、萌芽枝が多く出て「ご神木」としての再生が期待できます。


 巨樹の移植工事で最も重要なことは樹体温度が上昇して枯死しないように主幹や葉水への水掛が養生管理の大切な作業の一つです。移植工事は、移すスキルよりも移した後の樹体温度を上げさせない管理が移植工事の成否にかかっていると云っても過言ではありません。この地味な命の水掛けと見守りが「移植工事」の神髄ではないかと私は思います!!