大イチョウは雌木なので、樹形が横披性になる性質があります。6月に、種子が多く結実して地上に種子が落下しています。大枝が折木・割けて落下したのは種子の重さと雨や風による外的要因もあると考えられます。加えて、イチョウの材質は柔らかくて雨風の影響が多くあり受けやすい危険な状態でもあります。特に、冬場の積雪の重みなどによる枝折れも心配ですから、早めの剪定(切断)が安全性を高めます。
写真-2は、約15年前に宮崎哲夫さんが撮影された大イチョウです。赤い点線の大枝が今年の5月7日に枝折れして落下(消失)しています。まだ西側上部に3本くらいの落下の可能性の高い枝が残っていますので剪定して安全性を高めることが優先ではないかと思われます。11月になり、種子は落下しており現時点に於いては荷重的に耐える状態と考えられますので、冬場に剪定整枝されることを勧めます。切断面には殺菌剤・人工樹皮を塗布します。
現在のところ樹勢は弱くはないが、健全な力強さは診られない。これらの原因は5月・6月の乾燥による日照りに左右されています。これらの原因として、約20年位前に樹勢回復を目的とした土壌改良の施工が原因の一つと考えられます。この工法は、根元周辺を放射線状に掘り空気管を埋設して強制通気をする仕組みです。観光客の踏み固めによる土壌の緊密化を防ぐため根系に定期的にコンプレッサーで酸素を送ることで樹勢を回復させる効果があります。当時としては、斬新で画期的な治療方法でした。しかし継続的に送風することで根元が乾燥して一部が落葉して樹勢が衰弱するようになりましたので、この工法は5年で中止した経緯があります。
5月初の乾燥期に十分に水分補給をします。この時期の生育が秋の紅葉にも繋がりますので、毎年しっかりと潅水をします。ここの立地は、段差があり乾燥しやすい場所ですから潅水は水鉢(土手)を造作して溜めるのも一つの案です。
樹勢の回復には、溜めた水分に活力剤・発根促進剤などの栄養を2回から3回くらい与えるのも大イチョウの再生に効果があります。ヒコバエは根元から沢山発生していますが、この状態はイチョウの持つ性質ですから切断しないで見守ることで充分と考えています。
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補足:国指定ですから、剪定するにしても許可が必要で時間が掛かります。地元の老人会で管理をされていますが会員が減少しています。いろいろな問題が発生していますので、樹木医として協力はしていくつもりです。