2019年7月に発生したクスノキの異常な落葉木から採集された昆虫(写真)は、伊丹市昆虫館の長島氏より、クスベニヒラタカスミカメであると確認されました。熊本市に於けるクスノキの被害(罹病)木を赤い点で地図に落としました(図-1)。この発生分布図から、高速道路のインターチェンジ(熊本・益城)を基点として、東バイパスや第2空港線を主軸としたクスノキ街路樹を加害し、県庁周辺、光の森、健軍地区、上熊本駅周辺、さらに大江地区へと市内中心部へと侵入していることが読み取れます。さらに移動手段として、自力飛来だけではなく運搬車両等に便乗している可能性があり、幹線道路や人の集まる場所に被害が発生している傾向にあります。
クスノキは常緑樹ですが、4月に新芽と交代する落葉が自然現象にあります。さらに7月と10月に落葉するクスノキ炭疸病(アザミウマ・アブラムシ・ダニなどの媒介)の病的な落葉も発生しています。このような状態に加え、クスベニヒロタカスミカメの加害が重なり多量の落葉が起こり、クスノキの樹勢衰弱化が診られます。被害地域は国道・県道・市町村道の街路樹や、公園・河川・民有地などに及び、どこから防除したら良いのか解からないのが現状と思われます。このまま放置すれば、生態系にも悪影響がおよぶ可能性もあり、県木クスノキを守るために早急な防除対策が求められます。